伝えるために(6) ~分かってもらいたいから~


自分の発した言葉を確認していく習慣がつくと、
少しずつ、シンプルに気持ちを伝えることができるようになってきます。


自分の気持ちと言葉がしっくりくるようになってくると
何より自分自身が 自分の気持ちを確認できて
感情の混乱状態から抜け出せます。


けれどその一方で、一年前の私には
「どうして分かってくれないの...!」
「どうして聞いてくれないの...!」という思いもありました。


夫はとてもデリケートで、過敏で、
自分のプライドを傷つけられることを何より恐れているので、
私の対話の変化に接しても、なかなか聞く姿勢をとることはできませんでした。


よく言われたのは、

「君は間違ってる!」
「何度同じことを言うんだ!」
「君の話には終わりがない!」


......そう言われて、私も泣きそうなのですが、根気をふりしぼって説明します。












えっと、今私が話したかったのは、
私がそう思ってるとか、そう感じるってことなんだよ...。
それが間違ってるとか どうとかは 分からないけど、
人間が思うことや感じることって、
“その内容が正しい”っていう根拠があるから、感じるってわけではないよね...?
...で、私があなたに聞いてもらいたいのは、その、思ってること感じてることなんだ。
正しいか間違ってるかを判定してほしいわけじゃないんだ。


同じことを何度も言うってことだけど...何度も何度もそういう思いが湧いてきちゃうんだよ。
それに、あなたが一度でもいいから 私が感じていることを、そのまま認めてくれて、
私が感じていることを許してくれたら、もう何度も言わなくてすむかも知れないと思うよ。


話しても話してもあなたがキレて、私の感じていることを否定されてしまうと、
私もあなたに対して非難したいことが溢れてきちゃうよ。
相手のことばっかりをお互い言い合うのは、もう私は嫌なんだ...。


あなたが 自分のことを言われた! って思ったとしても、それは違うんだ。
私の話し方がまずくてそういう風に聞こえちゃうかも知れないけど...。
それに私が今辛い思いしてるのは、あなたのしたことがきっかけだから、
どうしてもあなたのことが話題になってきたりするけど、
話したいのはただ、“私がそう思ってる”ってことなんだよ。
“そう思っちゃってるんだ” “そう感じちゃうんだ” ってことを、まず認めてほしい。
意見があるんだったら、一度ちゃんと受けとめて、それから自分の意見を言ってほしいんだ...。


あなたは「うつ」が重かったとき、いっぱいいっぱい、辛さを私に訴えたじゃない?
それを間違いだって言われたら、嫌じゃない?
あなたはそういうとき、気持ちをただ聞いてもらいたかったんじゃない?
間違いだって言われても、困っちゃうじゃない?そう思っちゃってるんだから。
私も今とても辛いから、聞いてほしいんだよ。
ただそうなんだねって、分かってもらいたいだけなの。
聞いてどうこうしてほしいなんて思っていない。


「気持ちを分かってほしい」と言っても、私の思ってることに賛成しろとか、
同じ気持ちになれって言ってるわけじゃないんだよ。
私がそういう気持ちだ、ってことを理解してくれたらそれでいいんだ。
っていうのは、あなたはなんだか......
“私の話すことを静かに聞くことは、私の意見が正しいと認めることになる”
って思っちゃってるみたいだから...。


さっきみたいにね...、
「あなたのこんな態度を受けて私は不安になった」とか
「あなたのあの言葉を受けて私は傷ついた」って言ったとき、


じゃあこれ言っちゃいけないとか、この言葉は大丈夫かとか、
いつも細かく気にしなきゃいけないのか!?
...って言うじゃない。


じゃあ「これから気をつける」って言えばいいのか!?
そんなこと言ったって、何が気に障るか分からない!
...って言うじゃない?


私はあなたに、私の要求する行動をとらせたいんじゃないんだよ。
ただ、私が“不安になった”とか“傷ついた”ってことを、
あなたが知っててくれればそれでいいんだよ。


不安になったり、傷ついたりしてるのは、私なんだよ。
私が、不安になってしまうの。私が、傷ついてしまうの。
あなたが 私を傷つけた」と言って、責めるつもりはないんだよ。
私が、あなたの言葉を聞いたり、態度を受けたりして...言ってみれば 私が勝手にね、
不安になったり、傷ついたりしてしまってるっていうことなの。
それをあなたに言って、弱音吐きたいだけなんだよ。
あなたは今まで私に、たくさん愚痴や弱音を吐いてきたでしょう。
いつも私が受け止める側だったけど、今は私が受け止めてほしいの。
私があなたにしてきたことを、今度はあなたにしてほしいの。


話に終わりがないってこともね...、
あなたはいつも、結論から言えって言うけれど、
話してみて、はじめはゴチャゴチャしていたものが整理されて
それで初めて分かることもあるんだよ。
「自分が言いたかったのはこういうことだった」って、話しながら気づくこともあるんだ。
それには、ゴチャゴチャしたところを通らないとダメなときもあるんだ。
いつも私言ってるじゃない?自分は話しながら考えるたちなんだって。
あなたはそうじゃなくても、私はそうなんだよ...。


あなたは終わりまでたどり着く前に、怒り出してしまうよね。
あなたが腹を立ててる部分は、まだ話の途中のとこなの。
話の途中の一部分に対して反応されると、
言いたいことはそういうことじゃなかったのに...って思う。すごく残念だよ。


あなたが怒って話の筋道からそれてしまうと、
私はそれに対して弁解することでいっぱいいっぱいになって、
結局話したかったことは宙ぶらりんになる。
で、また次に最初からやり直しになってしまうから、
あなたにしてみれば「何回も同じことを言う」ってことになっちゃうと思うんだけど...。


あなたが少し辛抱して聞いてくれると、助かるんだ。
時間にしたって10分かそこら、口を挟まないで聞いてもらえたら...。
私が話し始めたら、2分もしないうちに反論してくるじゃない?
そのくらい辛抱して聞くことはできないかな...できない?


あなたが100%納得するような話し方は、私にはできないよ。
努力はしているけど、今はまだ、どうしても努力しきれない部分もある。
その部分は、申し訳ないけど、あなたに協力してほしいんだ。
少しだけ、私に合わせてもらうことはできないかな...?





...そのときどきに 小分けにして伝えましたが、
夫に対して、自分自身の気持ちを伝えることとは別に、
どんなスタンスで聞いてもらいたいのかを説明しました。
その、ほとんど全てが、上の内容です。


ときにはこんな風に、分かってもらうための、噛み砕いた説明をしました。
気持ちを伝える言葉とは逆に、なるべく論理的に、大人語で話します。


もっと上手い言い方があるかも知れないけど、
感情が溢れてくるなかでは、こんな風に説明するのが精一杯でした。



大変長くなりました。次回に続きます。
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by marca-mia | 2006-05-17 11:37 | 伝えるために・聞くために


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