カテゴリ:ただいま夫婦リハビリ中( 2 )

一年


私が夫に離婚を切りだしたのは、ちょうど一年前の今日でした。

私は一年前の今日、すべての思いをぶちまけました。
別れを前提としなければ言えなかった。
別れと引き換えにしても大事にしたいものが 私の中にあることを
夫に知ってほしかった。
夫を愛していたからです。

夫が私にしてきたことは、
夫が夫自身に向けて、していることだと 知っていましたから。

夫が哀れでした。

あのまま私を、夫のお気に入りの人形のように仕立てた結婚生活を送ることは
夫がいつまでも裸の王様でいることを意味しました。
夫は 私を縛るように 自分を縛り、
私に泣くことをゆるさないように 自分の心にも鎧を着せていました。



離婚を切り出すとき、一気に色んな決心ができました。

私は専業主婦で体も弱いので、
これから働いて収入を得るのは易しいことではないこと。
けれど子供がいるわけではないので、
自分ひとり面倒見ていくぐらいはできると想像しました。

それでも 実際やってみたら、大変なのだろうな。
生半可ではないのだろうな。

悪い方、悪い方に目一杯考えてみました。

大好きなフラメンコもやめなければならないかも知れないな。
役者時代のように、四畳半の風呂なしアパートに住むのだろう。
あの頃、貧乏暮らしを経験しておいて本当によかった。
自分が貧乏を楽しめるたちであることも知っている。

家を出たら、最初は親に迷惑をかけるだろう。
非難もされるだろう。
幼い頃から体が丈夫でない私のこと、たくさんの心配もかけるだろう。
そのことで私自身 心を痛めるだろう。

好きな習い事もできず、洋服も買えず、美容院にも行けない生活。

........それでも、このままの生活よりはまし!!

そう思った。

こんな夫婦でいつづけるくらいなら...!



夫が不快に感じる行動はいっさい禁じられ、
心が死に、無表情になっていった私。

「辛いときはいつでも言ってくれよ。」

夫はいつもそう言ったが、
その言葉を信じた私が 弱音を吐いたり相談したりすると、必ずキレた。
自分の決めたルールから私がそれることを許さなかった。
私はそのたびに、二重、三重に 裏切られていくのだった。

私自身、めまいと動悸でおかしくなりそうな頭で、
どうしたらほんとうの私を受け入れてもらえるだろう...
いや、受け入れてくれなくてもいい。
どうしたら、私が私のままであることをゆるしてもらえるだろう...。
必死の試行錯誤を繰り返した。

どんなに優しい態度で接しても、
柔らかに自分の思いを伝えようとしても、

夫は自分に心地のよい話題以外は許さなかった。
それどころか、
全く他意のない私の一言が癇に障り、いきなりキレたりした。

私が、苦しみながらも、別居も離婚も拒んできたことを、
「俺と一緒にいたいからじゃなくて、お金のためだろ。」 と解釈した。
そうではないことを、やっと分かってもらえるときがきた。


私は夫の前に正座して、
涙でぐちゃぐちゃの顔をそのままにして
「別れてください!!」 と手をついた。


私こんな夫婦いやだもん!!
あなたは私が何を思っていようが、何を感じていようが、どうでもいいと言った。
暗い顔したら笑えと言った。
無理して笑ったら、そんな顔はよせ!と言った。
表面だけでも仲がよければいいんだと言った。

相手が何を感じてるか、知りたくもないなんて、
相手がどんなに辛い思いしてても、自分には関係ないなんて、
そんな夫婦、私がなりたかった夫婦じゃない!!
一人で生きたほうがどんなにかまし!!

泣くだけ泣いたら、私もいつか傷が癒えると思ってた。
だけど違う。
自分の心に嘘ついていたら、毎日それを続けていたら、
嘘をつき続けるためにもっともっと泣かなきゃいけなくなった。
自分が引き裂かれた。
心が壊れてきた。
この状態で生きるくらいなら、別れたほうがよっぽどまし!!

ぶつかる度にあなたの言い分を受け入れてきた。
口じゃ色々言ったけど、結局私の行動は いつもあなたを受け入れてきた。
あなたは口では受け入れると言いながら、
いつもいつも キレて、はねのけて、抑え込んできた。

あなたはね、あなたは、不幸なんだよ!
あなたはね、人の気持ちを知らなくていいっていうんだよ、
自分の一番身近な人の気持ちすら知らなくていいっていうんだよ!!
人の気持ちを分からないで、
知ろうともできなくて、知りたいとも思えなくて、
自分の周りの人みんな傷つけて、
みんながあなたをどう思ってても、言われさえしなけりゃそれでよくて、
そのくせどう思われてるか知りたくて、
いっつも上目づかいで気にして、
耳を塞いだままで、人とつながっていたくて、
誰とも本音で接することができなくて、
本気であなたのこと考えてる人の言うことさえ聞きたくなくて!!!

誰もね、あなたを不幸のままでいいんだって思ってないんだよ!!

あなたは不幸だ不幸だって自分のことばっかり言いながら、
自分がこのままでいたいんだよ!!
どんなに私があなたのことを考えたって、
どんなにあなたのために色々してあげたって、
もう私にはどうにもできないんだよ!!
あなたが不幸のままでいたがってるんだから!!

あなたはね、不幸なんだよ!!!あなたは不幸だよ!!!

夫は 泣いていた。


もう、私出て行くね...。
こんなこと言われて、私と一緒にいるの辛いでしょう。

やりつくすまで、覚悟ができるまで...と思って、
今まで絶対離婚と言わなかった。

いつも、どんなに錯乱しちゃったときでも、
あなたのことが「好き」ってこと、「一緒にいたい」ってことだけは伝えてきたよね。

あなたは離婚だ、離婚だって何度も言っていたよね。
私が離婚したくないと言って付き合わせたのに、今さらごめんね。

あなたを嫌いになったんじゃないの。
あなたが浮気したからじゃないの。

私が、もう嫌なの。
私が、こんな夫婦でいるのが耐えられないの。
あなたは、これで良かったんでしょうけど...。
私には、耐えられないの。

出て行くね。



箪笥の引き出しから洋服を出して鞄に詰め始めたのは、
ポーズではありませんでした。
夫がまさか引き止めるなんて思わなかった。
それまでさんざん、私と離れたがってきたのは夫だったのだから...。



私たちにとって ほんとうの「再構築」は、その日から始まったのかも知れません。

あの日から 夫は少しずつ、変わりはじめました。



今日で一年。

それを知ってか知らずか、夫は明日、食事に行こうと誘ってくれました。
そして、「お泊りしよう」と。

横浜から自宅まで一時間もかからずに帰ってこれるのに
夫はホテルが大嫌いなはずなのに。

ラブホテルじゃない、普通の(?)ホテルです...!(*O*)ウソー!!
願っていた以上のものを、また私にプレゼントしてくれました。




こんな日が来ることを、すっぱりと諦めたあの日。
神様は 一年後のこの日を 密かに用意してくれていたのでしょうか。



いったい、何のご褒美として...?
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by marca-mia | 2006-02-27 12:14 | ただいま夫婦リハビリ中

7月13日。


二週間前 北海道へ行った日の夜

とってもとっても楽しく過ごして、夕食後に夜の散歩。
満天の星空を眺め、ゆっくり温泉に浸かって
明日の予定も決まったし、2人仲良く過ごそう と夫が寄り添ったとき



やっぱりわたしは泣いてしまいました。



楽しもう、楽しもうとする心が、その裏に抱えていたものまで 大きくしてしまったようで

今味わっているこの状況が幸せであればあるほど
無力感のような 情けないような思いが 胸の奥から染みだしてきて


けして悲しいだけの涙じゃないけど
どうしようどうしようと思うと顔があげられない。


私の記憶の中の夫はいつも
私が泣くと 「どうしたんだよー!なんで泣くのさー!」と問いただす。
うまく説明できないでいると キレて大声を出す。

私の望みは
...泣いてしまったときは、問いたださないで、黙って見守って。

夫の言い分は
...泣いていたら気になるだろ。俺が原因で泣いてるに違いないんだから。


でもね、涙は言葉にならないときに出てくるでしょう?
涙のわけを言葉にするには、落ち着きが必要。落ち着くには安心感が必要。
誰もわたしの心の翻訳機を、わたしの代わりに動かしてはくれない。
言葉の糸口が見つかる前にあなたに逆上されたら 恐くて何も話せなくなる。
恐さの方が大きくなって、自分のほんとうの気持ちを解き放てなくなる。



いつの日からか 自分が泣いてしまうことが、自動的に恐怖心に結びついていた。


だから、この夜も 泣きながら 追い詰められる心があった。


夫はやはり「どうしたの!?なんなの!?」と問いただす。
その口調は、幾度となくわたしにプレッシャーを与えた、
地団駄を踏む寸前の子供のような、苛立ちと懇願の混ざったような声


少し 前より恐くない。


私はここで恐がらなくてもいいのかも知れない。

夫はほんとうに、わたしの今の思いを知りたいのかも知れない。

泣くわたしを責めるつもりでなく、自分に何ができるのかを知りたいのかも知れない。



夫に受け入れてもらいたいという願い。



恐怖の記憶にとらわれて 夫の胸にとびこむ勇気を捨ててしまえば、
拒まれるショックからは、開放されるだろう...。

     けれど、

受け入れられる機会も永遠に失うことになる。



震える胸の半分は、勇気のせいだったのかも知れない。


わたし、わたし。
あんなことがある前は
あなたと一緒の生活を 前向きに頑張ろうと思ってた。
辛いこといっぱいあっても、あなたの助けがもらえなくても
いろんな悩みに一人で整理つけて、
2人の生活のために努力したり、
あなたが元気になるための力になろうって、
そんな気持ちが自然に持てるようになってきてた。

あなたがしたことを知って、それが全部ひっくりかえっちゃった...!
せっかく育ってきてた気持ちが、一気にマイナスになって...
どうにかゼロまで戻して、今は少しプラスが増えて、だけど、まだ全然足りないんだけど...!

あなたが一生懸命、わたしのことを考えて、わたしのことを気にして、仲良くなれるようにって。
あなたができる精一杯のことを いっぱい いっぱい 頑張ってくれてるのに。

嫌なことばっかり思い出して、嫌なことばっかり考えて
忘れなくっちゃ忘れなくっちゃ、と思っても、
また嫌なことを 思ってしまうんだ。

こんなにあなたが、一生懸命やってくれてるのに。


あのことがあってから、初めてこうして旅行に来て
こんなに楽しいのに、仲良くできるのに、嬉しいのに...。


どうしても 嫌なことを考えてしまうんだ...。
どうしても 嫌なことが浮かんできてしまうんだ...!




夫は黙って聞いていた。
わたしの頭の上に夫の顔があって、表情が分からない。




いいんだよ。



......。



いいんだよ。
嫌なことはね。
忘れよう忘れようと思うと余計に思い出しちゃうからね。

忘れよう忘れようと思うんじゃなくて、そうじゃなくてね。
なるべく他のことを考えよう。




少し前のわたしだったら、
「なるべく他のことを考えよう?それができたら苦労しないのよ!」
「他のことで気を紛らわして私の心に蓋しようっていうの!?」
って、そんな風に受け取っていたと思う。


だけど今はなぜだか分かる。


夫の言った「他のことを考えよう」という意味。


それは、2人一緒の、楽しい時間を たくさん過ごそう ということ。
嫌な思い出から逃れるように無理に笑顔をつくるのでなく
2人で仲良く暮らしていくことに、お互いの気持ちを向けていこう ということ。
嫌な思いは抱えたままで、それが消し飛ぶほどの幸せな瞬間を
少しでも多く、少しでも長く つくっていこう ということ。


うまく言葉をあやつれない夫の、言葉じりをとらえては傷ついていた今までのわたし。

言葉をなげつけあい、言葉に振り回され、しなくていいはずの罵りあいもした。


言葉に乗っている思いのほうを 見ていなかった。



だけど、だけど。




いいんだよ。



この言葉が、どれだけ欲しかっただろう。

こんな自分でいいのだと、わたしを受け入れてくれる言葉が。

他のだれでもなく、夫の口から。



誰が、何が夫を変えたのだろう。



わたしに怒りをぶつけ、暴言を吐き、暴れ狂った夫が
わたしをゆるし、包み、支えてくれる日がくると
あの日のわたしには 信じることができなかった。




信じもしていなかったものがもたらされた。




夫の胸で、子どものように、声をあげて泣いた。
夫はわたしの嗚咽に応えるように、ぎゅっと抱きかえしてくれた。



わたしが胸の奥でずっとずっと願っていたこと。



あきらめていた以上のものが与えられた。



7月13日の夜。



この夜 わたしは、

ともに愛を育む伴侶をもう一度 見つけることができた。
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by marca-mia | 2005-07-26 23:32 | ただいま夫婦リハビリ中